十二国記考察〜「魔性の子」を読む
特別番組
廉麟
を見た少年が似てると感じたピンク隊員を捜せ!

 


 ここでは、「魔性の子」を読むCで取り上げた『特撮番組に出てくるピンクの制服を着る隊員』を捜索してみようと思う。

 どの特撮番組なのかを特定させるために、まずは「魔性の子」の舞台となっている年代を特定させなければならない。
しかし、これが今ひとつピンとこない。
昭和だろうか?とは思うのだが、はっきりと年代を特定できるような記述は見当たらないのである。

 十二国記の中で、こちらの世界(蓬莱)の年代がはっきりと示されているのは、「月の影 影の海」下巻での壁落人の台詞「昭和四十四年一月十七日」くらいのものである。(昭和44年1月17日の夜に、壁落人は蝕に巻き込まれて慶に流れ着く。)
そして、壁落人の台詞に対し、陽子は「わたしが生まれる前のことです。」と語っている。(「月の影 影の月」P121)
このやり取りから、陽子が昭和44年(1969年)以降の生まれだということがわかる。
まずは、ここから紐解いてみよう。


 ◆「月の影 影の海」はいつの話なのか?

 「月の影 影の海」で陽子が学生として生活していた環境下では、「髪を脱色する=不良」という感覚が浸透している。
現在となっては、このような感覚はかなり麻痺しているのだが、染髪・脱色=不良という感覚が薄れてきた(いわゆる“茶髪ブーム”が浸透した)のは平成5年(1993年)頃から。(ちなみに茶髪ブーム到来は平成3年(1991年)頃らしい)

 「月の影 影の海」は陽子が16歳のときの話なので、昭和60年(1985年)〜(茶髪が一般的になった)平成5年(1993年)の八年間が舞台候補ということになる。


 ◆「魔性の子」はいつの話なのか?

 「月の影 影の海」の年代的な舞台背景が、昭和60年(1985年)〜平成5年(1993年)の八年間に絞られたことによって、「魔性の子」の舞台背景も必然的に見えてくる。
泰麒の年齢は陽子のひとつ下(『黄昏の岸 暁の空』P406 )。
陽子のひとつ下ということは、泰麒は昭和45年(1970年)以降生まれ。
「魔性の子」の泰麒は高校二年生で17歳。(注:泰麒は一年ダブっている。)
 賢明な貴方はもうお気付きかと思うが、「月の影 影の海」の年代的舞台背景に+2年したのが「魔性の子」の年代的舞台背景なのである。
陽子が16歳でありえる年代が昭和60年(1985年)〜平成5年(1993年)なので、泰麒が17歳でありえる年代は昭和62年(1987年)〜平成7年(1995年)となる。

 つまり、「魔性の子」は昭和62年(1987年)〜平成7年(1995年)の八年間が舞台候補になる。(ちなみに、「魔性の子」は平成3年(1991年)9月25日初版)

▼ 舞台候補の年代はもっと絞ることができるそうだ!

 ◆きたか!?年代特定!

 今までの検証(推測)から、「魔性の子」の年代的舞台背景が絞り込めた。
これでようやっと、 廉麟に少し(←ここ重要)似ているという『特撮番組に出てくるピンクの制服を着る隊員』捜索に、希望の光が差してきた

・・・ かのように見えた・・・

が、

今一度、「魔性の子」の文面を見てみよう。

「彼がよく見ていた特撮番組に出てくる、ピンクの制服を着る隊員に少しだけ似ていた。」(「魔性の子」P132〜133)

過去形なのである。
「見ている」ではなく「見ていた」なのだ。
おいっお前!お前が、その番組を見ていたのは何年前の話なんだよ!

l||li _| ̄|○ il||li ・・・もう駄目かも・・・


 だが待て待て!

この廉麟とおぼしき女を目撃したのは“小学六年生”なのである。(「魔性の子」P131参照)


ふっはっはっは!

まだだぁ!

まだ終わらんよぉ!


 昭和62年(1987年)から平成7年(1995年)までの八年間のうちに、小学六年生になる年代の者が見た可能性のある特撮番組を探ればよいのではないか?


 ◆小学六年生が見ていた特撮番組

 見たTV番組の記憶があるのは何歳ごろからだろうか?
彼は小学六年生なので、もしかしたら3歳ごろの記憶もあるかもしれない。5〜8年前の記憶でも鮮明に思い出せる可能性もある。
 となれば、昭和62年(1987年)から遡ること8年の昭和54年(1979年)から平成7年(1995年)までの16年間に放映された特撮番組を調べればよいのだ!

 16年間・・・・

 il||li _| ̄|○ il||li 何番組あるんだよ・・・

 くじけるな・・・。
 


 ◆ここでちょっと脱線して特撮番組のうんちく

 特撮番組というと、昭和41年(1966年)に放映を開始した『ウルトラQ』『ウルトラマン』が始まりである。
(特撮ものとしては、昭和29年(1954年)の『ゴジラ』の方が先だが、こちらは特撮映画)

 特撮番組でピンクの制服といえば、思い浮かぶのが「戦隊ヒーローもの」と呼ばれる番組だろう。
「戦隊ヒーローもの」の草分け的存在の『秘密戦隊ゴレンジャー』が放映されたのは昭和50年(1975年)。
 


 ◆昭和54年(1979年)から平成7年(1995年)までの16年間に放映された特撮番組


▼無駄に長いんで、飛ばしたい方はクリック


・昭和54年(1979年)
新・仮面ライダー、バトルフィーバーJ、メガロマン 

・昭和55年(1980年)
ウルトラマン80、仮面ライダースーパー1、電子戦隊デンジマン

・昭和56年(1981年)
太陽戦隊サンバルカン、ロボット8ちゃん

・昭和57年(1982年)
宇宙刑事ギャバン、大戦隊ゴーグルV、バッテンロボ丸

・昭和58年(1983年)
アンドロメロス、宇宙刑事シャリバン、科学戦隊ダイナマン、ペットントン

・昭和59年(1984年)
宇宙刑事シャイダー、星雲仮面マシンマン、超電子バイオマン、どきんちょ!ネムリン

・昭和60年(1985年)
勝手に!カミタマン、兄弟拳バイクロッサー、巨獣特捜ジャスピオン、TVオバケてれもんじゃ、電撃戦隊チェンジマン

・昭和61年(1986年)
時空戦士スピルバン、超新星フラッシュマン、もりもりぼっくん

・昭和62年(1987年)
仮面ライダーBLACK、超人機メタルダー、光戦隊マスクマン

・昭和63年(1988年)
仮面ライダーBLACK RX、世界忍者戦ジライヤ、超獣戦隊ライブマン、電脳警察サイバーコップ

・昭和64年/平成元年(1989年)
機動刑事ジバン、高速戦隊ターボレンジャー、魔法少女ちゅうかないぱねま!、魔法少女ちゅうかなぱいぱい!

・平成2年(1990年)
地球戦隊ファイブマン、特捜ウインスペクター、美少女仮面ポワトリン

・平成3年(1991年)
鳥人戦隊ジェットマン、特救指令ソルブレイン、不思議少女ナイルなトトメス

・平成4年(1992年)
うたう!大龍宮城、恐竜戦隊ジュウレンジャー、特捜エクシードラフト

・平成5年(1993年)
五星戦隊ダイレンジャー、電光超人グリッドマン、特捜ロボ ジャンパーソン、有言実行三姉妹シュシュトリアン

・平成6年(1994年)
忍者戦隊カクレンジャー、ブルースワット

・平成7年(1995年)
重甲ビーファイター、超力戦隊オーレンジャー




参考サイト
Nibbles lab.HomePage〜oh!石の研究室〜 Nibbles lab.HomePage 〜oh!石の研究室〜
 うちだの世界 (Uchida's World) 「これが特撮だ!」



 Σ( ̄口 ̄;) 55番組!

 こりゃ無理だよ・・・il||li _| ̄|○ il||li


 ・・・いや

 ・・・まだだ!

 まだ終わらぬよ!


 「ピンクの制服を着ている隊員」なのだから、ある程度絞り込むことができるのではなかろうか。
そう思った私はググった。

すると、どうでしょう・・・。

 世の中には、素敵なサイトがキラ星の如く輝いているわぁ・*:.。..。.:*・゜゚・*


参考サイト
Super Heroine's Materials 特撮ヒロイン資料室 Super Heroine's Materials 特撮ヒロイン資料室
 Column
 スーパー戦隊 ヒロイン女優 リスト 【 放映順 】



 なんとなんと、ピンク隊員がずらっと出てきたよ!


▼ここも無駄に長いんで、飛ばしたい方はクリック


・昭和54年(1979年)
ミスアメリカ=ダイアン・マーチン(ダイアン・マーチン)/バトルフィーバーJ
ミスアメリカ2代目=汀マリア(萩奈穂美)/バトルフィーバーJ

・昭和55年(1980年)
デンジピンク=桃井あきら(小泉あきら)/電子戦隊デンジマン



・昭和57年(1982年)
ゴーグルピンク=桃園ミキ(大川めぐみ)/大戦隊ゴーグルV

・昭和58年(1983年)
ダイナピンク=立花レイ(萩原佐代子)/科学戦隊ダイナマン

・昭和59年(1984年)
ピンクファイブ=桂木ひかる(牧野美千子)/超電子バイオマン

・昭和60年(1985年)
チェンジフェニックス=翼麻衣(大石麻衣)/電撃戦隊チェンジマン

・昭和61年(1986年)
ピンクフラッシュ=ルー(吉田真弓)/超新星フラッシュマン

・昭和62年(1987年)
ピンクマスク=モモコ(前田賀奈子)/光戦隊マスクマン

・昭和64年/平成元年(1989年)
ピンクターボ=森川はるな(木之原賀子)/高速戦隊ターボレンジャー

・平成2年(1990年)
ファイブピンク=星川数美(宮田かずこ)/地球戦隊ファイブマン

・平成4年(1992年)
プテラレンジャー=メイ(千葉麗子)/恐竜戦隊ジュウレンジャー



▼絞れた範囲の水平線間から・・・戻る

・平成5年(1993年)
ホウオウレンジャー=天風星リン(高橋夏樹)/五星戦隊ダイレンジャー

・平成7年(1995年)
オーピンク=丸尾 桃(さとう 珠緒)/超力戦隊オーレンジャー



 15人に絞れてきました!
そして、ここでもう一発!
廉麟は長髪!長髪の隊員はというと!

・・・ほぼ全員長髪だ・・・。(´▽`|||

駄目だこりゃ・・・

これはもう最後の手段!

独断と偏見で

・昭和62年(1987年)
ピンクマスク=モモコ(前田賀奈子)/光戦隊マスクマン

に決定!
根拠は「なんとなく」。

で、
ピンクマスク=モモコ(前田賀奈子)の画像を元に


 少年が見た廉麟を描いてみたー!

廉麟

 いかが?


 いや〜、やっとのことで廉麟を見た少年が似てると感じたピンク隊員を発見できました♪




 な〜んか・・・根本的に間違っているような気もするが・・・



 捜索終了で御座います、隊長! "く( ̄ー ̄)v

 
2005年12/4 シドニーの別荘にて

2008年7/22 加筆修正



 と、いった感じで、
ピンク隊員探しは終ったと思われたのだが、
2006年10月27日に、マイコさんから掲示板に書き込みがありました。
 

ピンク隊員について
これは…。廉麟が氾麟から蠱蛻衫をかりたから、少年にとって好ましい(テレビのヒーロー者のお姉さん)姿に見えただけでは。蓬莱では胎果でないものは姿を保てないので、人と会話するために蠱蛻衫が必要だった。「そのへんの人間を捕まえて、六年前に何か変異がなかったか訊いてみるのも已むなしだと思ってる。」(黄昏の岸P333L17)
(つまんないこと云ってすみません。次で挽回)

2006/10/27(金) マイコ
 

 たしかにマイコさんのおっしゃるとおりで、蠱蛻衫を使っていたのだから、『少年が見た姿』であって、「廉燐の真の姿かたち」ではありません。

というわけで、タイトルを

『廉燐似のピンク隊員を捜せ!』

から

『廉燐を見た少年が少し似てると感じたピンク隊員を捜せ!』

に変更しました。


 そのほかに、マイコさんは「泰麒と陽子の生年」についても解説してくれました。
 

泰麒の年齢(生年)について
・泰麒が一年ダブっていて高2だったことから本来は高3。
・常世で漣に行ったとき「今の泰麒はやっと十一になろうとしている子供にすぎない。」(華胥の幽夢P37L17)から、遅生まれの17歳。
・両親が亡くなって親戚連中が土地の値上がりを気にしていたことから1991年以前。(株の最高値は1989年、土地は1991年だったような気がする)
◎つまり、遅くとも1974年生まれ。

陽子の生年について
・陽子は昭和天皇崩御1989年1月以降の?年2月に流され、そのとき高1で15か16歳。
・陽子は壁落人が流された昭和44年2月(1969)以降の生まれ。
「……私が生まれる前のことです」(月の影下巻P121L5)の台詞は微妙な表現。昭和44年生まれなら、「……私の生まれた年です」と陽子は相槌を打ったのでは。だからもう少し絞って1970年以降、と考える。
・陽子の髪が赤っぽくて教師から注意されていたので、時代背景として1990年代以降は考えがたい。
◎つまり陽子の生年は1970年以降1974年3月以前。

・陽子が常世に渡り8ヶ月で天勅を受け登極。それから丸二年後の赤楽3年に泰麒が帰還。
・泰麒帰還(17)の2年8ヶ月前には陽子は高1の15か16だったことから神籍にはいっていなければ陽子は大学1年の18か19。
◎二人の学年の違いは1年。

つーまーりー、
陽子…1970年から1973年3月生まれ
泰麒…1971年から1974年3月生まれ
と推察されます。
二人が現在も無事なら陽子(33〜35)、泰麒(32〜34)。以上。

最後まで読んでいただけたなら感謝します。長々と失礼しました。

2006/10/27(金) マイコ
 

 陽子と泰麒の生年がここまで絞られたことによって、各作品の年代的舞台背景も絞られてくる。
「月の影 影の海」は、1987年〜1990年(昭和62年〜平成2年)
「魔性の子」は、1989年〜1992年(昭和64年/平成元年〜平成4年)
のお話ということになる。

 ということは、
1989年(昭和64年/平成元年)から1992年(平成4年)までの4年間のうちに、小学六年生になる年代の者が見た可能性のある特撮番組を探れば、廉燐を見た少年が少し似ていると感じたピンク隊員が特定できるのである。

▲舞台候補の年代をもっと絞ったところで・・・戻る

 ◆小学六年生が見ていた特撮番組

 見たTV番組の記憶があるのは何歳ごろからだろうか?
彼は小学六年生なので、もしかしたら3歳ごろの記憶もあるかもしれない。5〜8年前の記憶でも鮮明に思い出せる可能性もある。
 となれば、1989年(昭和64年)から遡ること8年の1981年(昭和56年)から1992年(平成4年)までの11年間に放映された特撮番組を調べればよいのだ!

▲絞れた範囲がこの水平線間

なんとなんと、9人に絞られましたね。

▲そして、行き着く先は!

 
2008年7/23  パラオの別荘にて

掲示板に書き込んでくれたマイコさんへ
長い間、ほったらかしにしていてすみませんでした。
 




>>「魔性の子」を読むC
  


>>「月の影 影の海」篇
 

十二国記 〜 (C) 小野不由美・講談社/NHK・NEP21・総合ビジョン



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