十二国記考察〜「魔性の子」を読む



その@〜何度目かいな〜


 あまりにも続刊が出ないので、またまた十二国記を読み返すことにした。
これで何度目だろうか・・・orz

 それにしても、私の所持している文庫本のなんと読みづらいことか。付箋やらなんやらがベタベタと貼っ付けてあるのだ。
かといって、もう一部ずつ買う気はサラサラない。
「十二国記好きだって言うのなら2,3部持ってたっていいんじゃね? 」
とも思うのだが、結局、貧乏性(というか貧乏)が祟って、新たに購入することなく、そのまま付箋付きのものを読み返してしまう私である。(そんなところが小憎らしい)
しみったれな私に乾杯♪

おいでおいで〜 まずは『魔性の子』から。
この作品の出だしはとても好きだ。
情景が目に浮かぶ。
旧家に降り注ぐ雪。
墨絵のような色合いの世界にぽつねんと独り佇む少年。
何を感じたか、少年はゆるりと動き出す。
少年の歩みの先には・・・

汕子のおいでおいで〜

暖かな空気に包まれながら差し出されたその白い腕は、寒空の下に放り出されていた泰麒を優しく招く。

きっと、泰麒が手に触れた瞬間、汕子は号泣したのでしょうね。

・・・泰麒モエー・・・汕子モエー・・・

 

そのA〜おしおき〜


 ↑で描いた「手」だけど・・・
間違ってるね。
二の腕まで出てるみたいだ・・・orz
でも、描き直しなんかしない強い信念!コレダイジ

 しかしだ。
雪がチラホラ舞い降りる季節だというのに、庭に立たせっ放しにしておける祖母は凄いね。
私も小さい頃は、悪さをした罰によく(←ここ大事)物置に閉じ込められました。
電気も無く真っ暗でオマケに狭くてカビ臭い。
嫌で嫌でしょうがなかった記憶はあるけど、
母曰く
「あんたはいくら閉じ込めても謝らなかった。」
だ、そうな。
私も意固地な子供だったってことですな。(泰麒の意固地とは違う意固地ですけど・・・)
でも、謝らなかったって記憶は無いんだよなぁ〜。素直なイイ子のはずなのに・・・。
今ではもう謝りっぱなしです。
「スイマセンスイマセン」
「申し訳ありません。手前どもの・・・。」
・・・
強く生きて行きたい・・・。
 

そのB〜クールになったのは〜


 疫病神扱いされる高里要。
しかし、彼は我関せずといった風。
いたってクールだ。
このクールさは、どこかで見たことある。
どこで見たのだろう?

う〜ん・・・。

あぁ、アレだ。
景麒だ。
蓬莱に戻ってきた高里のクールさは、景麒のクールさと似ているのだ。

 そこで思う。

泰麒は景麒のことが好きだった。
もしかして、「景麒さんのようになりたいな。」とまで思っていたのではないか?
十二国の世界で過ごした記憶を失っているとは言っても、潜在意識の中に“景麒に対する憧れ”というものがあって、あのクールな高里要が構築された・・・と。

ちょっと自虐的?とも思えるような透明な心で、瞳をうるうるさせていた泰麒。
あどけなくい微笑みを顔いっぱいに浮かべ、汕子や女仙たちと戯れていた泰麒。

それが、あの鉄面皮になってしまったのは・・・・
景麒のせいなのかもしれない。

憧れ

な〜んて、ちょっとだけ(←ここ大事)思った私なのであった。

 

そのC〜廉麟&什鈷〜


 さてさて、ようやく使令らしきものが出てまいりました。
え〜、テキストの132ページを開いてください。
ここに出てくる白い犬。
これはかなり高い確率で、廉麟の使令である什鈷(ジュウコ)と思われます。
ということは、
「き、知らない?」
と訊ねている女は廉麟でありましょうね。
ということは
「特撮番組に出てくるピンクの制服を着る隊員に少しだけ似ている。(「魔性の子」P132〜133)」
が、廉麟の容姿。
「魔性の子」の時代背景が掴めれば、この当時流行っていた特撮番組を割り出すことによって、ピンクの制服の隊員を探し当てられる。
するってーと、そのピンク隊員の容姿が廉麟に 少しだけ(←ここ大事) 似ているということから、廉麟の顔立ちも想像できるというものです。

 そこで!
 緊急特番!
 廉麟似のピンク隊員を捜せ!



 大げさな・・・。


 今回は什鈷を描いてみました。
・・・もっと可愛く描きたかったのに・・・(*_ _)

一つ目わんこ

 

そのD〜名付け〜


 さてさて、物語りも中盤に差し掛かり、展開が激しくなってまいりました。
泰麒に追従する汕子と傲濫。
多少、自制が利かなくなってきているとはいえ、泰麒に侍る気持ちに変わりはないはず。
でも、泰麒は自分たちの名前すら覚えていない様子。
歯がゆい思いしてただろうね。
でもって、ワケの分らん名前付けられちゃって・・・。
「誰だよそれ?」
そんな突っ込みが聴こえなかったかい?泰麒。

使令の心麒麟知らず

 

そのE〜幕は上がった〜


 ようやく読み終わりました。
泰麒が徐々に記憶を取り戻していって、「汕子」と名前を呼びます。
たぶんここで汕子は大喜びだったでしょう。
そのとき
傲濫はどうしていたのでしょう?
「俺の名前も思い出してくれよ」とばかりに柴犬の姿になってみたりしていたのでしょうか?

 「魔性の子」は十二国記の序章のような作品。
他の十二国記作品が世に出され、十二国の世界観がある程度解るようになってからこの本を手にすると、多少、突っ込みたくなる(疑問に思う)箇所がありますが・・・まあ、その辺は深く掘り下げてもしょうがないので・・・。

とにもかくにも、十二国記の幕は上がりましたよ。

 
2005年 記

登場人物
高里要 戴極国の王(乍驍宗/朴綜)に仕える麒麟、泰麒(泰台輔)、驍宗からの呼び名は蒿里(こうり)、黒麒
広瀬 教生、語り部的存在
後藤 理科(科学)教師、広瀬の担当教官
丹野 科学教師、老齢で温厚
築城(ついき) 高里要と同じクラス(二-六)の生徒
岩木 高里要の隣のクラス(二-五)の生徒
野末 一年生
橋上 三年生
五反田 委員長
十時(ととき) 養護教諭
勢多 高里要と同じクラス(二-六)の生徒
杉崎 一年生
坂田 二年生
生田 担任、英語教師、サッカー部の顧問
廉麟 漣極国の王(鴨世卓)に仕える麒麟、廉台輔
廉麟? 二十歳前後の女 さほど美人ではなく少女体型 髪は長い
特撮番組に出てくるピンクの制服を着る隊員に少しだけ似ている女
鹿に似た獣
延王 雁州国の王、倭名は小松三郎尚隆、またの名を風漢
ほか 高里要の祖母
高里要の母
高里要の弟
高里要の父
学校の生徒たち
学校の先生たち
築城(ついき)の母
車持ちの大学生の男
病院の看護婦
マスコミ関係者
学校帰りの子供
配達途中の男
三階の窓から学校を覗いていた女
小学六年生の男の子
タクシー運転手、少年、少女、老婆、警察 など
妖・獣・魔
ムルゲン 泰麒(高里要)の使令、白汕子
グリフィン 泰麒(高里要)の使令、傲濫
廉麟の使令? ひとつ目の白い犬
ひとつ目の犬よりも大きな獣
堤防の下の泥の中から出てきたナニか
黒い大きな牛のようなもの
赤黒い蛭(学校の窓の高さほどの長さ)
黒い朱儒のようなもの
巨大なアメーバのようなもの
白い人間のようなもの

 
雑記

突如として人がいなくなることがある。
家出や夜逃げのような、なんらかの理由があって姿をくらますというものではなく、こつぜんと人が消える。「きっと神隠しにあったのだ」などと人々が囁くような・・・。
大昔なら、人手が欲しいための(人身売買なども含む)人攫いや辻斬りなどもあっただろう。現代なら、猟奇的な誘拐や殺人、拉致などが考えられる。
1980年ごろの日本では、神隠しのような行方不明者が多発していた。
「魔性の子」を読んで最初に思ったのは、“そういう事件から少なからず影響を受けたのではないか”というものだった。
行方不明者はどこに行ってしまったのだろう?「なにか事件に巻き込まれた」「誰かに拉致監禁されてしまった」などと考える。妄想をもっと膨らませると、「宇宙人に連れ去られた」「異世界に行ってしまった」。そういう発想から十二国記という異世界が造られていったのかもしれない。
いやいや、なんの確信もない話なんですけどね。
そうなんじゃないかな〜って感じで。
 
2009年 記

 


>>「月の影 影の海」篇
 

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