歴史

ルーシー / Lucy
 

1974年(昭和49年)11月24日
ドナルド・ヨハンソン、ティム・ホワイト、トム・グレイらのチームがエチオピアのハダール村付近で発見した猿人の化石

アウストラロピテクス・アファレンシス / Australopithecus afarensis の一体

ほぼ完全な骨格が発見されたことから、性別が女性であることなど詳しい情報が得られた
身長1.1メートル程度、体重29キロ程度、脳の大きさ400t、年齢20〜30歳

当時のキャンプでザ・ビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」が流れていたことからから「ルーシー」と命名された



注意すべきところ
「ミトコンドリア・イヴ」との混同

・ミトコンドリア・イヴ
 カリフォルニア大学バークレー校のレベッカ・キャンとアラン・ウィルソンのグループは、できるだけ多くの民族を含む147人のミトコンドリアDNAの塩基配列を解析した。

そこから解ったことは、
ミトコンドリア解析で現生人類の祖先を辿れば、約16±4万年前に生存していたひとりの女性のミトコンドリアDNAのタイプに行きつく。
ということ

聖書に書かれている最初の人間「アダムとエバ(イヴ)」の影響もあり、最初の(単一の)女性とされがちだが、ミトコンドリア・イヴについては、約16±4万年前に別タイプのミトコンドリアを持つ女性がいなかったわけではない。

詳しくは「ミトコンドリア・イヴ」参照


ミトコンドリア・イヴはホモ・サピエンス(20万年前以降、または35万5000年前以降)を指しているのであり
ルーシーはアウストラロピテクス・アファレンシス(390万年前〜300万年前)なので

ルーシー = ミトコンドリア・イヴ ではない!

混同しやすいのでご注意を
 

アウストラロピテクス / Australopithecus
 

アウストラロ(南の)ピテクス(猿)属
哺乳網霊長(サル)目ヒト科とされている、絶滅した猿人属
ヒト科とすることを懐疑的にみる意見もある

420万年前〜180万年前に生息

レイモンド・ダート氏やコンラート・ローレンツ氏は、”アウストラロピテクスは石器を武器として使い動物を捕食したり、ときには同族同士での殺し合いもおこなわれていた”としているが、更科功氏は”基本的には植物を主食としていた”といった意見を述べている。

1924年(大正13年)11月
南アフリカで発見
1925年(大正14年)に アウストラロピテクス・アフリカヌス / Australopithecus africanus として学術雑誌「ネイチャー」に掲載

パラントロプス属は以前、アウストラロピテクス属に含まれていた。

 


猿人登場〜現生人類登場までの年表別図はこちら
 

 アウストラロピテクスの種類 (華奢型猿人)
 

アウストラロピテクス・アナメンシス(アナム=湖 地域) / Australopithecus anamensis
(アナメンシス猿人)
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウストラロピテクス属の絶滅した猿人

420万年前〜390万年前に生息

体重:46s〜55s

1965年(昭和40年)
アフリカ、ケニアのトゥルカナ湖西岸でハーバード大学研究チーム(ブライアン・パターソンとウィリアム・H・ハウエルズ)が上腕骨の化石を発見

1994年(平成6年)
アフリカ、ケニアのカナボイアリア・ベイでメイブ・リッキーとアラン・ウォーカーが骨の断片化石を発見
アウストラロピテクス・アナメンシスと名付ける

他にトゥルカナ湖東岸、エチオピアのアワシュ川中流域などでも発見されている



アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール地域) / Australopithecus afarensis
(アファール猿人)
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウストラロピテクス属の絶滅した猿人

390万年前〜300万年前に生息

アナメンシスの子孫とみられている
アウストラロピテクス属とホモ属共通の祖先とみられている
2006年(平成18年)に出された研究結果では、アファレンシスはパラントロプス属に分類されるべきで、ホモ属の祖先ではないとされている

石器は使っていなかったとみられている

身長:オスで151cm、メスで105cm
体重:オスで45s、メスで29s
脳の大きさ:380ml〜430ml(もしくは375ml〜550ml)

1973年(昭和48年)11月
アフリカ、エチオピアのアワッシュ川中流域でドナルド・ヨハンソンとティム・ホワイトらのチームが膝関節の化石を発見

1974年(昭和49年)11月24日
アフリカ、エチオピアのハダール村付近でドナルド・ヨハンソン、ティム・ホワイト、トム・グレイらのチームが猿人の化石(ルーシー)を発見

2006年(平成18年)9月20日
ルーシーが発見された場所から近いところ(ディキカ)で、3歳女子の頭蓋、胴体(肋骨のほとんど)の骨の化石(セラム)を発見

他にタンザニアのラエトリなどでも発見されている(ここでは、火山灰地を直立二足歩行で歩いたと思われる足跡が発見されている)



アウストラロピテクス・バーレルガザリ(ガゼルの川) / Australopithecus bahrelghazali
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウストラロピテクス属の絶滅した猿人

350万年前〜300万年前

1995年(平成7年)
西アフリカ、チャドのコロ・トロ近くのバーレルガザリ渓谷でミッシェル・ブルネらが歯や顎の破片などの化石(アベル)を発見



アウストラロピテクス・アフリカヌス(アフリカの) / Australopithecus africanus
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウストラロピテクス属の絶滅した猿人

390万年前〜300万年前に生息

脳の大きさ:400ml(420ml)〜500ml

1924年(大正13年)11月
南アフリカのキンバリー近郊タウングで頭蓋骨の化石(タウング・チャイルド/タウング・ベイビー)が発見され、解剖学者のレイモンド・ダートが調べる
1925年(大正14年)に アウストラロピテクス・アフリカヌス / Australopithecus africanus として学術雑誌「ネイチャー」に掲載するも、学会にすぐには受け入れられなかった。
しかし、後に認められることになる

1936年(昭和11年)
南アフリカ、スタークフォンテインでロバート・ブルームが発掘を開始
1938年(昭和13年)
G・W・バーロウが発見した脳の大きさが485mlの頭蓋骨をロバート・ブルームがプレシアンスロプス・トランスヴァーレンシスと分類する
1947年(昭和22年)4月17日
南アフリカのスタークフォンテインでロバート・ブルームとジョン・ロビンソンが中年女性の頭蓋骨(ミセス・プレス)を発見
これもプレシアンスロプス・トランスヴァーレンシスに分類された
(プレシアンスロプス・トランスヴァーレンシスと分類された化石は、のちにアウストラロピテクス・アフリカヌスに分類し直された)



アウストラロピテクス・プロ(先に)メテウス(考える者) / Australopithecus Prometheus
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウストラロピテクス属の絶滅した猿人

1940年代後半以降(昭和20年以降ぐらい)
南アフリカの
スタークフォンテインでレイモンド・ダートが足首の化石(火を使ったという説がある)を発見し、アウストラロピテクス・プロメテウスと名付けたが、後(1948年/昭和23年)にアフリカヌスと同属とされた

1997年(平成9年)
南アフリカ、
スタークフォンテインでロナルド(ロン)・クラークらが人骨化石(リトルフット)を発見
20年にも及ぶ発掘・組み立ての末、2017年(平成29年)12月に南アフリカ、ヨハネスブルグでほぼ全身骨格(90%)の姿(身長130cm)が公開された。
まだ認められてはいないが、研究結果として、リトルフットは367万年前(もしくは376万年前)に生息していたとされている。
クラーク氏は、この人類化石(リトルフット)をアウストラロピテクス・プロメテウスの学名で呼びたいとしている。(新らしい属として考えているのかどうかはわからないが)
学者たちの意見では、「アフリカヌスと同属であろう」という意見が多いらしいが、今後のさらなる研究結果に期待が高まる話ではある。



アウストラロピテクス・ガルヒ(驚き) / Australopithecus garhi
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウスロラロピテクス属の絶滅した猿人

250万年前に生息

ホモ・ハビリスかホモ・エレクトゥスの直接の祖先の可能性が挙げられている

石器を使っていた可能性が考えられている

脳の大きさ:450ml

1996年
ベルハネ・アスフォーとティム・ホワイトらのチームがエチオピアのアワッシュ川中流域ブーリ村付近で頭蓋骨の一部の化石を発見



アウストラロピテクス・セディバ(水源)/Australopithecus sediba
哺乳網霊長(サル)目ヒト科アウストラロピテクス属の絶滅した猿人

200万年前〜180万年前に生息

2008年
考古学者リー・バーガーの息子マシューが南アフリカのマラパ地方の洞くつで左鎖骨の化石を発見
:「南アフリカ/マラパ(もしくはマラーパ/マラバ)」で検索をかけると、南方のポートエリザベス付近のマラバー(墓地)が引っかかる
   しかし、セディバが発見されたのは、ヨハネスブルグ北部にあるマラパの崩れた洞窟(スタークフォンテイン近く)です
 

アフリカ大陸地図
化石が発見された地域図(アフリカ大陸)
 

パラントロプス / Paranthropus
 

パラントロプス(人のそばに)属
(旧称:頑丈型アウストラロピテクス)
哺乳類霊長目(サル目)ヒト科パラントロプス属とされている、絶滅した猿人

以前はアウストラロピテクスに属していたが、エチオピクスが発見されたことによって頑丈型が独立してパラントロプス属とされるようになった。

270万年前〜160万年前(もしくは270万年前〜130万年前)に生息

1938年
南アフリカのスワルトクランスで発見
 

 パラントロプスの種類 (頑丈型猿人)
 

パラントロプス・エチオピクス(エチオピアの) / Parenthropus Aethiopicus
(エチオピクス猿人)
(アウストラロピテクス・エチオピテクス)
哺乳網霊長(サル)目ヒト科パラントロプス属の絶滅した猿人

270万年前(もしくは260万年前)〜230万年前に生息

アウストラロピテクス・アファレンシスの子孫だとみられている。
ロブストスとボイセイの祖先という説がある。

脳の大きさ:410ml

1967年
カミーユ・アランブールとイヴ・コパンズがアフリカ、エチオピア南部で下顎骨の一部と歯の断片を発見

1985年
アラン・ウォーカーとリチャード・リーキーがアフリカ、ケニアのトゥルカナ湖(旧ルドルフ湖)で頭蓋骨(ブラック・スカル)を発見。



パラントロプス・ロブストス(頑丈な) / Parenthropus Robustus
(アウストラロピテクス・ロブストス/ロボスタス)
哺乳網霊長(サル)目ヒト科パラントロプス属の絶滅した猿人

200万年前(230万年前)〜150万年前に生息

身長:オスで120cm、メスで100cm以下
体重:オスで54s、メスで40s
脳の大きさ:410〜530ml

1938年(昭和13年)
ロバート・ブルームが南アフリカのスワルトクランスで頭蓋骨の破片と歯を発見
その後も、クロムドライゴンドリンクーパースで発見されている。

1994年(平成6年)
アンドレ・カイザーらが南アフリカのドリモレン洞窟で230万年前のメスものと思われる頭蓋骨(エウリュディケー)を発見



パラントロプス・ボイセイ(ボイスという人名由来) / Parenthropus Boisei
(ボイセイ猿人)
(アウストラロピテクス・ボイセイ)
(ジンジャントロプス・ボイセイ)
哺乳網霊長(サル)目ヒト科パラントロプス属

160万年前(もしくは230万年前〜130万年前、210万年前〜110万年前)

脳の大きさ:510〜550ml

1952年(昭和27年)
アフリカ、エチオピアのトゥルカナ湖(旧ルドルフ湖)西岸で頭蓋骨を発見

1959(昭和34年)年
メアリー・リーキーがアフリカ、タンザニアのオルドヴァイ渓谷で頭蓋骨(ナッツクラッカー・マン)を発見

1969年(昭和44年)
リチャード・リーキーとH・ムチュアがアフリカ、ケニアのコービ・フォラで女性の頭蓋骨を発見
 
   
時に地中から、時に地表から、時に洞窟内から、骨の化石が見つかる。
調べてみると、それは人や類人猿の特徴を持ったものであった。
発見された場所の土や骨の化石を年代測定すると、その骨の主がいつの時代を生きていたのかが解るという。

人間の英知で、遺伝子からかなりの情報が解るようになった。という。
どの時代の地層から出てきたのということと、DNAやゲノムの調査で解ったことを照らし合わせて確証へと近づけていく。

まずは、その発見物が本物かどうかだ。
現代の作り物だったり、古い地層に埋められたものだったり。意図的に偽られたものの可能性はゼロではない。
そして、研究・調査の判定方法に間違いはないか?
分析方法とその結果は、本当に正しいのか?

一般人は、研究者や科学者の発表を信じるしかない。
「アウストラロピテクスは400万年前ぐらいに生息していたんですよ」
と、言われれば、こちらが確かめる術がない以上、信じるしかない。
いっそのこと、ルーシーが直に教えてくれれば信憑性は高まるのに。
なぜ”真実”だと書かず、”信憑性が高まる”に留めたのかというと・・・
彼女(ルーシー)が嘘つきではない確証がないからだ。



しかしながら、この「人類の発祥」的な部類の記事を書いてみて思ったのが、アフリカの地名と場所の解らないこと解らないことww
アフリカ大陸は近年まで(今でも?)ヨーロッパ列国の植民地だったこともあって、地図上では英語名(ドイツ語・フランス語も?ラテン語も?)が多いんだけど、ところどころに現地ゆかりっぽい単語が混ざってきたりする。そうすると、なおさらネット上にあげられている情報+書籍での読み方が様々だったり、場所も不確かだったりして、その確認作業にかなり時間をとられた。
  2020年2月27日記   

参考資料


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